シェフからの手紙

Restaurant Nico
太田舟二シェフより

お店からの公式写真

 私の店では、主にパンに入れる塩、豚の塩漬け用野菜や魚のマリネ用の塩、肉や魚を盛りつけた後に「かざり塩」として使用しています。以前からいろいろな塩を使い、試してきましたが、酒田の焼き塩は塩の味のインパクトが強く、ミネラルが強く感じられるため、パンや肉料理にもよく合います。私の店で使用しているのは主にパン全種類、ハム・ソーセージ、豚のテリーヌの味付け、ポトフや野菜のスープ(クリーム系ではなくさっぱりしたスープ)、牛肉、鶏肉、豚肉をローストし、最後に存在感を持たせる意味で使う塩、野菜、魚のマリネなど様々です。自分が考えるさかたの焼き塩の使い方は、調理行程がシンプルなものや、素材の味をそのままストレートに出したいときは、この塩のようなインパクトがあり、旨味のある塩を使います。分かりやすいのはおにぎりやパン、食べたときに塩の旨味を直接感じることはないかもしれませんが、確実に味はおいしくなっているはずです。紅花の塩は店の前菜のつけ合わせとして、カブとリンゴのマリネに使っています。塩で一晩以上漬けておくと、ほんのり黄色い色がにじみ出し、紅花色に染まります。岩カキの塩は、魚のムニエルやカルパッチョの最後に数粒振るだけで、磯の香りがほんのりとして料理を引き立てます。私が酒田の塩を使うきっかけとなったのは、自家製パンです。パンの材料は粉と水と塩、ほんの少量のイースト、とてもシンプルな組み合わせだからこそ塩の旨味が粉の香り、甘味を引き出します。一般の消費者へのアピールとして一番分かりやすいのは、やはりおにぎりだと思います。旨みのある塩だからこそお米の味、「甘味や旨みを引き出せる」という事を、改めて実感できると思います。